

20250919_気候・自然に関する機関投資家と企業の対話の高度化に関するシンポジウム:自然資本データ&AIを駆使した気候・自然関連の情報開示と事業戦略の実装に向けて
—シンポジウムタイトル—
気候・自然に関する機関投資家と企業の対話の高度化に関するシンポジウム:
自然資本データ&AIを駆使した気候・自然関連の情報開示と事業戦略の実装に向けて
Symposium on advancing dialogue between institutional investors and companies on climate-nature agendas: climate and nature-related disclosure using biodiversity data and AI, and implementation of business strategies
—本シンポジウムの目的と趣旨–
気候変動や生物多様性に関する情報開示は、投資家と企業の間の建設的な対話を促し、ビジネスにおける気候・自然関連リスクに対応した資金導入によって、持続可能な経済成長へ移行することを目指しています。しかし、幅広い企業に投資を行う機関投資家にとって、気候を含む自然と企業活動の接点、自然資本に対する依存と影響は企業のバリューチェーン全域に及ぶため、その包括的な洗い出しは容易ではありません。このような難題にも関わらず、機関投資家は、実質的に社会全体に及ぶシステミックな気候・自然関連リスクの源泉となる様々な課題を、主に個別企業のボトムアップ的な情報開示(限定的で定性的な内容)に基づいて把握しつつ、投資先企業との対話に向かうことになります。
気候・自然関連リスクは投資の中長期リターンを構造的に劣化させる要因であり、その課題解決に対して「個別企業の開示待ち」の状況はフィデューシャリー・デューティーの観点からも憂慮すべきでしょう。
以上のような課題に対して、気候・自然関連データ・テクノロジーが有望視されます。科学的アプローチを駆使すると、産業セクター固有の詳細なサプライチェーンと自然との接点の分析と、様々な地域の詳細な自然資本の状態の把握は十分可能であり、これによって、個別企業からの開示を待たずとも、機関投資家は自社の投融資ポートフォリオの気候・自然関連リスクを俯瞰的、定量的に理解でき、優先すべき自然との接点、依存と影響を特定し、それに寄与している可能性の高い企業に紐つけることが可能になります。これにより、個別企業とのエンゲージメントの課題設定がより的確になるでしょう。
この気候・自然関連のビックデータとAIを駆使した高解像度な分析をさらに深く活用することで、様々な産業セクターの個社事業を個別コモディティの生産・調達拠点(農園や鉱山など)のレベルで積み上げて評価し、具体的な課題とその解決策の定量評価が可能です。機関投資家による、いわばトップダウンな課題洗い出しがデータドリブンな「インテリジェンス」として機能し、個別企業のボトムアップな評価や情報開示との整合性がとれ、両者の対話の質が向上し、エンゲージメントの実効性がこれまでにない次元に引き揚げられる可能性があります。
以上の趣旨に基づき、本シンポジウムは主に上場企業への投資に携わる機関投資家(アセットマネジメント会社、年金基金、保険会社など)の方々と、投資とエンゲージメントを受ける側の企業の方々に幅広くご参加いただきたいと考えております。本シンポジウムにおいて、気候・生物多様性科学に基づいたソリューションは、ビジネスニーズに応えうるリスクの可視化は十分可能なことを紹介し、「科学的インテリジェンスに基づいた対話の高度化」に関する議論を深めたいと考えています。
—シンポジウム情報—
主催:株式会社シンク・ネイチャー
後援:PRI (Principles for Responsible Investment)
日時:2025年9月19日(金)午前10時から13時
場所:大手町ファーストスクエアカンファレンス(Room A)
※参加費:無料
定員:130名
※先着順にて定員になり次第締め切らせていただきます
※2025/9/17 18:00で登録を締め切らせていただきます
※当日は入場確認のためにお名刺を2枚ご持参お願いします
—プログラム—
10:00―10:10
趣旨説明(シンク・ネイチャー)
10:10―10:35
湯澤達朗(PRI)
責任ある投資家の気候・自然リスク対応状況と課題
15分講演+10分質疑応答
10:35―10:55
久保田康裕(株式会社シンク・ネイチャー、琉球大学)
生物多様性・自然資本ビッグーデータを駆使した投融資ポートフォリオのトップダウン評価
15分講演+5分質疑応答
10:55―11:25
寺門雅代(ニッセイアセットマネジメント株式会社)
機関投資家ポートフォリオの自然関連リスクの定量評価
20分講演+10分質疑応答
11:25―11:45
五十里翔吾(株式会社シンク・ネイチャー)
機関投資家と個別企業の自然に対する依存・影響:グローバルスケール高解像度で気候変動と生物多様性劣化に伴う事業リスクを可視化する
15分講演+5分質疑応答
11:45―12:15
参加者の皆様との総合討論 30分
12:15―13:00
名刺交換と懇談
—登壇者プロフィール—

PRI(Principles for Responsible Investment)
ヘッドオブジャパン 湯澤 達朗
2022年6月にPRIに参加し、日本の署名機関、政策立案者、その他関係者と協力して、地域における責任投資のエコシステム構築に取り組む。それ以前には、資産運用会社にて最高投資責任者(CIO)を務めるなど資産運用業務に一貫して携わってきた。銀行で内外債券のポートフォリオ運用を担当し、米国資産運用会社で米国株式の運用、東京のグローバル資産運用会社等で日本株式の運用を経験した。前職の資産運用会社では、エンゲージメント運用やスチュワードシップ・ステートメント策定等に携わり、常務執行役員運用本部長、同国際事業本部長を務めた。
東北大学法学部卒、シカゴ大学MBA
CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト

ニッセイアセットマネジメント株式会社
サステナブル投資推進部 兼 株式運用部投資調査室
チーフアナリスト
寺門 雅代
サステナブル投資推進部にて、当社のサステナブル投資の方針設定や投資フロントへのインテグレーションの組織的推進業務を率いる。現在は、特に自然資本や人的資本を含む幅広い持続可能性投資テーマにおける調査活動を統括。更にサステナビリティ経営を通じた企業価値向上に向けた投資先企業とのエンゲージメントの実行にも従事。環境省ESGファイナンス・アワード(環境サステナブル企業部門)選考委員、ILO(国際労働機関)「機関投資家のためのビジネスと人権ガイダンス」の作業部会メンバーなどを務め、国内外のサステナブル投資の枠組み作りにも貢献中。
早稲田大学にて法学士号、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス(LSE)にてソーシャルビジネス・アントレプレナーシップ修士号を取得。

株式会社シンク・ネイチャー
代表取締役CEO 久保田 康裕
北海道大学農学部卒業、帯広畜産大学大学院修士課程修了、東京都立大学理学部大学院博士課程修了 博士(理学)。専門は生態学。世界中の森を巡るフィールドワークと、ビッグデータやAIを活用したデータサイエンスによって、生物多様性の保全科学を推進する。研究チームでスタートアップ「株式会社シンク・ネイチャー」を起業し、生物多様性市場を創出することに挑戦している。

株式会社シンク・ネイチャー
取締役・市場開拓推進室 室長 五十里 翔吾
大阪大学基礎工学研究科博士前期課程終了、修士(工学)。2022年より琉球大学理工学研究科博士課程所属(久保田研究室)。ロボット工学、ヒューマンコンピュータインタラクションを専門としていたが、生物多様性に関心を持ち博士過程より分野変更。