国際洞窟・カルスト年2021:洞窟生態系の生物多様性を忘れないで
洞窟生態系の生物多様性は独特で、世界中の洞窟の種多様性は、5万種から10万種と推定されています。一方で、保護区で守られている洞窟生態系は、全体の6.9%に過ぎません。
洞窟には、季節性があまりなく、温度も安定し、湿度が高い、独特な環境が維持されています。そのため、洞窟に生育する生物のほとんどは、急激な環境変化に対応する生理的メカニズムを喪失しています。
気候変動は、洞窟固有の生物多様性に大きな影響を与えることが懸念されています。
例えば、IUCNレッドリストには、洞窟に営巣するコウモリ150種が含まれます。これらのコウモリは、様々な植物(有用木材種や農作物種)の受粉や種子分散に関係し、農業害虫を捕食するなど、私たち人間に大きな恩恵(=生態系サービス)をもたらしています。地球温暖化は洞窟環境を高温化させ、コウモリの繁殖活動や冬眠を阻害し、個体群を減少させる可能性、コウモリによる生態系サービスの供給を減少させる可能性が指摘されています。
洞窟生態系の生物多様性を忘れないで!
参考文献
Sánchez-Fernández, D., Galassi, D.M.P., Wynne, J.J. et al. Don’t forget subterranean ecosystems in climate change agendas. Nat. Clim. Chang. (2021). https://doi.org/10.1038/s41558-021-01057-y
国際洞窟・カルスト年( IYCK: International Year Caves and Karst 2021 )
https://iyck2021.org/wp-content/uploads/2020/09/UIS-IYCK-2021-Leaflet-Japanesse-Language.pdf