財務・経営管理のプロが挑む「自然資本」──岩佐の新たな挑戦
財務・経営管理のプロが挑む「自然資本」──岩佐の新たな挑戦
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財務・経営管理のプロが挑む「自然資本」──岩佐の新たな挑戦

科学と多様な人材の力で、自然と経済をつなぐ挑戦—シンク・ネイチャー

地球規模の環境問題が深刻化するなか、私たちは今、自然環境と経済活動の両立という難題に直面しています。従来の経済活動はしばしば自然資源を消耗させ、生物多様性を脅かすことがありました。しかし、持続可能な未来のためには、経済活動を止めるのではなく、新たな方法で自然との調和を図ることが求められています。

シンク・ネイチャーは、このような課題に取り組むために設立された会社です。最先端の科学的分析を駆使し、生物多様性を守りながらも経済活動を活性化させるソリューションを生み出すことを使命としています。その最大の特徴は、多種多様なバックグラウンドを持つ専門家が集結していることです。生物多様性など自然科学の研究者、コンサルタント、データサイエンティスト、経営管理のプロ、エンジニアなど、さまざまな分野から集まったメンバーがそれぞれの専門性を活かし、力を合わせて問題解決に挑んでいます。

本シリーズでは、シンク・ネイチャーの個性豊かなメンバーのストーリーを通じて、そのユニークな取り組みと魅力に迫ります。

財務・経営管理のプロが挑む、「自然資本」という新たな挑戦

「元々金融分野の出身でその後IT企業数社での就業経験があり、資金調達などの財務活動や経理・人事などの経営管理実務が専門の自分が、生物多様性という分野で働くことになるとは思いませんでした」。そう語るのは、シンク・ネイチャーの取締役(CFO)であり、経営企画管理部の責任者を務める岩佐さんだ。

岩佐さんは長年、ベンチャーキャピタルやIT企業などで財務や経営管理、IPO対応などの実務を専門として活躍してきた。当初は限定的な業務委託でシンク・ネイチャーと関わっていたが、資金調達業務を経て管理部門の立ち上げを担当したことがきっかけでその関係が一気に深まった。

「当社にとって初めての外部資金調達を実現し有力な外部株主を獲得する過程で、当社が手掛ける生物多様性を守る取り組みが世の中に必要とされまた大きく期待されていることを実感しました。当初は業務委託の立場でしたが、この会社なら自分のこれまでの経験や能力を存分に発揮でき、日本発の世界企業を目指す大きな挑戦ができると確信して正式に参加することにしました」。

岩佐さんがシンク・ネイチャーに加わる決め手となったのは、「自然資本への投資が評価され豊かな社会経済へと繋がる世界を実現する」という壮大なビジョンと、生物多様性というこれまでになかった領域を産業化しようという極めてチャレンジングな目標に大きな魅力を感じたと同時に、このことそのものが、社会的に重要な課題の解決につながるという点だ。

個性豊かな仲間が生む可能性

シンク・ネイチャーのもうひとつの魅力は、何といっても個性豊かなメンバーたちだ。

「例えば鳥が好きで休暇中には各地移動しながら野鳥観察を欠かさない人、昆虫に驚くほど詳しく質問すると驚くほどマニアックな情報を与えてくれる人、植物の種類や生態に深い造詣を持ち一緒に自然観察をすると時間も忘れてレクチャーしてくれる人など、多様な専門性や趣味を持つ仲間がいます。日々彼らと話をすることで、これまでの自分にはまったく持ちえなかった新たな知識や視点が得られます。金融業界やIT業界とはまったく異なる考え方や価値観を持つ彼らと触れることで、自分自身も学びを得、視野が広がり、成長を実感しています」。

岩佐さん自身も、財務や経営管理の専門性を活かしつつ、他分野のメンバーとのコミュニケーションを密に行いながら新しい知見を吸収し、チーム全体の成長につなげている。

「専門分野の違う仲間と交流することで、この分野に秘められた新たな将来性や、新たなビジネスモデルや資金調達の可能性に気付くことがあります。自分の財務や経営管理の知識が、彼らの研究やアイデアを具体的な経済活動に結びつけるきっかけになれることにやりがいを感じます」。

「攻めるために守る」—管理業務のやりがい

岩佐さんの担当する経営企画管理部は、少人数で財務、経理、人事、法務、情報システムなど幅広い領域を管理し、シンク・ネイチャーが「攻めるために守る」基盤を築いている。

「ベンチャーならではの柔軟でスピード感のある環境は私にとって大きな魅力です。限られた人数で多岐にわたる業務をこなすことで、組織や人材の成長を間近に感じられますし、チーム全体で挑戦を共有する達成感も得られます」。

岩佐さんは特にコミュニケーションを重視し、自部署のみならず各部署との連携を積極的に図っている。

「部署間の橋渡し役として、組織全体での円滑なコミュニケーションを促進しています。部署間で情報がスムーズに流れ、全員が同じ方向を向いて仕事が進むように支援することが私の重要な役割だと思っています」。

子どもたちに誇れる仕事

岩佐さんが仕事を通じて感じている喜びは、シンク・ネイチャーの事業や自分の手がけている仕事が自分の子どもたちに胸を張って説明できる内容であるということだ。

「これまでの職歴では、自分自身が業務や関わっている事業の社会的存在意義について子供たちに分かりやすく説明するのが難しいことも多かったのですが、今は自然環境や生物多様性を守ることがいかに私たちにとって大切なことかを始めとして、自身の業務の意義についてとても話しやすいなと思っています。自然資本や生物多様性を守る活動が未来の世代にとって非常に価値あることだと伝えられることはとても嬉しいですし、子どもたちが自分の仕事に関心を持ってくれることにも喜びを感じています」。

共に未来を創る仲間を求めて

最後に、岩佐さんはシンク・ネイチャーに興味を持つ人々にこう呼びかける。

「自然環境や生物多様性の重要性を理解し、経済活動を通じて長期的に社会に貢献したいという方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。生物多様性の領域で産業化を実現することは、非常に高いハードルを伴う挑戦です。そのためには、技術だけでなく、多様な専門性を持つ人材の力が欠かせません。短期的な成果にとらわれず、次世代にとって本当に価値のある社会をつくっていく——そんな志を共有できる仲間と出会えることを楽しみにしています」。

財務・経営管理の専門家である岩佐さんが自然環境保護の分野に飛び込んだこの挑戦は、持続可能な社会へとつながる確かな一歩となっている。